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乳房構成の判定方法

乳房構成は乳腺組織の多寡によって病変の検出感度が異なることは知られている通りです。マンモグラフィガイドラインでは、いままで脂肪組織が多いものから乳腺組織が多いもの の順に、脂肪性(fatty)、乳腺散在(scattered)、不均一高濃度(heterogeneous dense)、高濃度(extremely dense)の4つに分類してきました。しかし国際的には高濃度側の2つの乳房構成を“高濃度乳房(dense breast)と呼び、日本でもこれを踏襲することになったため、4つめの高濃度乳房が狭義と広義のどちらを示すか分かりにくく、4つめの乳房構成を”極めて高濃度“と変更することとなりました。そのため、不均一高濃度乳房と極めて高濃度乳房がいわゆる“高濃度乳房(dense breast)”になります。(図1)


図1


また、4つの分類の判定は、典型例の一致率は高いのですが、典型例の間、判定に迷う症例も少なくなく、症例によっては読影者内、読影者間でも一致率が低い症例も存在します。そこで判定の一致に役立つ判定方法を検討し、以下のように決定しました。
乳房構成の判定は、明らかな乳腺後隙の脂肪のみの部分を除き、もともと乳腺組織が存在していたと考えられる領域を分母とします。皮下脂肪、大胸筋部分は除きます。分子は上記の分母の広がりの中で、大胸筋と等濃度以上の部分の面積の総和とします(表1,図2)。


表1


図2


この割合が、10%未満を脂肪性、10%から50%未満を乳腺散在、50%から80%未満を不均一高濃度、80%以上を極めて高濃度と判定します(図3,4)。


図3


図4


“高濃度乳房(dense breast)”と分類された乳房でも、圧迫乳房厚が30mm未満の場合乳癌の検出率は低くないという報告がある。そのため、通常は厚さに関係なく判定するが、迷った場合には、評価対象としたMLO撮影圧迫乳房厚30mmを目安とし、それより薄い乳房では、“脂肪性より”に判定することとしました。例えば、乳腺散在か不均一高濃度か迷った場合、MLO撮影の乳房圧迫厚が18mmであった場合には、“乳腺散在”と判定します。不均一高濃度か極めて高濃度か迷った場合、MLO撮影の乳房圧迫厚が40mmであった場合には、“極めて高濃度”と判定します。図5の症例は分母をどう引くか、また乳頭直下の脂肪のやや多い部分を分子としていれるかどうかで、乳腺散在か不均一高濃度か迷う症例です。しかし厚さは20mmと薄く、“乳腺散在”と判定することになります。


図5